糖質制限での難関:甘味料について〜糖質とは何か・糖質との付き合い方・注目の甘味料〜
糖質制限をしている方にとって、一番ハードルが高い食材が甘味料だと思います。とはいえ、全く甘味料なしの生活をずっと続けるのも大変です。
「たまにはおやつだって食べたい!!(心の声)」
今回は、そもそも糖質とは何なのか?から、私がどのように糖質と付き合っているか、今私が注目している甘味料などをご紹介します。
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そもそも糖質とは何なのか?
厳密に言うと、単糖類〜多糖類など、様々な糖質があります。KIRINさんのこちらの表がわかりやすくまとまっていたのでご参考ください▼
参考出典:「糖質」と「糖類」はどう違う?|キリン
単糖類
・果糖(フルクトース)…果物に多く含まれる
二糖類
・ショ糖…ブドウ糖+果糖の結合物。一般的には砂糖の事
・麦芽糖(マルトース)…ブドウ糖+ブドウ糖の結合物。醸造中のビール等に含まれる
・乳糖(ラクトース)…ブドウ糖+ガラクトースという単糖の結合物。母乳や牛乳にふくまれる
多糖類
・セルロース…食物繊維の代表格
・デンプン…穀類や芋類に多く含まれる
糖質の過剰摂取によってどんな弊害が起きるのか
本来、食べ物から吸収された糖質=グルコース(ブドウ糖)は、エネルギーとして細胞に吸収されて使われます。その際、インスリンがグルコースを細胞にまで運ぶ運び屋としての役割を果たすのですが…糖質を過剰摂取してしまうことで、以下のような状態になり、ニ型糖尿病の発症となります。
ニ型糖尿病のメカニズム
①膵臓から分泌されるインスリンが、食べ物からとったグルコース(ブドウ糖)を細胞に運んで使えるようにする。
②ところが、血中にグルコースが際限なく存在した場合(過剰摂取した場合)、いつまでもインスリンが分泌され続け、インスリンの血中レベルが高くなる。
③それと同時に、細胞は、エネルギー過多・インスリンによるグルコースの供給疲れになる。
④細胞その苦しい状態に対処するため、インスリンを受け付けなくなる。要は、細胞が扉をいくつか閉めて、インスリンがノックしても聞こえなくしてしまう状況。
⑤こうして、細胞はインスリンに対して鈍感化=「抵抗する」ようになる。
⑥細胞が⑤のようにインスリン抵抗性を持ってしまうと、グルコースは吸収されないまま、血中に残ったままになる。
⑦体は危機を感じて、膵臓に「インスリンを分泌してグルコースをさっさと取り除くように」と命令する。
⑧膵臓は命令にしたがって、血中のグルコースがすべて吸収され切るまで、いくらでもインスリンを出し続ける。
⑨→しかし、細胞は…③に戻る。悪循環。
血中に糖が残ってしまうことによって起きること
・血中に残った糖は、ガラス破片のように作用し、全身の血管を傷つけて危害をもたらす。(炎症する)
・神経伝達細胞(セロトニン・ドーパミンなど)が減少し、これらを作るビタミンB複合体もすぐに使い果たされてしまう。
・マグネシウムの濃度も下げ、神経系と肝臓の機能を弱める。
・タンパク質やある種の脂肪と結びつき、糖化反応を起こす。糖化反応によって生まれた糖タンパク質は「終末糖化産物(AGEs)」とよばれ、さらなる炎症と、命に関わる組織をつくる。→脳機能低下の一番の原因。脳細胞萎縮に繋がる。
特に注意したい糖質
果糖
ここでは特に、加工された果糖*1。
・グラニュー糖やフルクトースなどのように、インスリンを大きく上昇させず、そのまま肝臓で処理されるため、食欲抑制に関係するレプチンの生成を低下させてしまう。=つまり、満腹感を覚えないので食べ続けてしまう。
・また、長期的に大量に摂取すると、耐糖能異常、インスリン耐性、高血脂、高血圧に繋がるという研究結果がある。
・直接肝臓で処理されるため、肝臓にとって巨大な負担・ダメージとなる。*2
・病原性の腸内細菌のエサになるばかりか、それによって健康な腸内細菌のバランスが崩れる。
・腸内細菌によって、短鎖脂肪酸のような二次生産物にもなるが、様々なガス*3も作り出し、腹痛や便秘を引き起こす。
・腸内の過剰な果糖は、水分の過剰摂取も引き起こし、下痢を招く。
人工甘味料
・果糖同様、基本的にはインスリンを上昇させず、そのまま肝臓で処理されるため、食欲抑制に関係するレプチンの生成を低下させてしまう。=つまり、満腹感を覚えないので食べ続けてしまう。
・ものによっては、インスリンを上昇させる場合もある。(2014年ネイチャーが発表したものが有名)
・ものによっては、発ガン性の疑いのあるもの、代謝機能を狂わせ、代謝障害を引き起こす場合がある。
・人口甘味料をいつもとっている人の腸内細菌は、摂取していない人のものと明らかに様子が異なり、糖尿病発生率も高くなるという研究結果もある。
*糖質と腸内環境における関係性はこちら:免疫力がUPする腸内細菌環境(マイクロバイオーム)を整える食事ご参考ください。
甘味料(糖質)との上手い付き合い方
糖質制限生活を初めて、はや1年半。
まだまだ勉強中ではありますが、どんな風に糖質制限と付き合っているか、いくつかご紹介したいと思います。
1日の糖質摂取量はざっくり計算する
細かい計算をしだすと大変なので、ざっくりでOKです。糖質摂取量を計算しながら献立を考えます。
近頃は、ググるとたくさん出てきます。
食品においては糖質一覧表▶︎食材の糖質量一覧表
加工食品においては糖質を割り出すための考え方▶︎糖質表示のない加工食品の糖質量の求め方
こちらのように計算機もあります▶︎糖質計算機 | 無糖生活
なお、厚生省が発表している1日の糖質摂取量は120gほど。
とにかく今すぐ痩せたいダイエットターの方は、1日の糖質摂取量は50gほどにとどめておくのがよいでしょう。(主人はこの制限量で痩せました*)
糖質摂取量を計算する癖をつけておけば、
「今日は食事で糖質をとっていないから、おやつに甘味料とっても大丈夫!」など、恐れずに甘味料が使えます。
糖類・糖質の表記に注意する
糖類→単糖類・二糖類だけの事をさす
糖質→多糖類・糖アルコールも含む
注意したい点は、「糖類0」と歌っている食品は、かならずしも糖質0とは限らないということです。
使う甘味料を選ぶ :なるべく低糖質・低GI値・栄養素含む、で。
今回のテーマにもなりますが、摂取するなら以下のポイントを抑えた糖質が良いと考えています。
・なるべく低糖質で感じる甘みが高いもの
・他の栄養価もともに含まれている(食物繊維など)
GI値(グリセミック指数)とは
GI値は0〜100の指数で表されており、数値が高いほど、血糖値の上昇を早め、継続させる食品です。
基準値としては、グルコース(ブドウ糖)のGI値を100としています。
糖質は1g当たり血糖値を3mg上げる(2型糖尿病の場合)といわれています。
私が注目している選びたい甘味料
甘酒
期待される栄養素▼
・アミラーゼ・プロテアーゼ・リパーゼ・セルラーゼなど、食べたものの分解を助けてくれる麹菌酵素が100種ほど含まれている事により、消化吸収がよくなる。
・ビタミン類(補酵素)不足しがちなビタミンB1、B12、B6などが含まれている。また、甘酒の場合この90%が吸収できるビタミンとなる。
・必須アミノ酸全9種類がすべて揃っている。
・甘酒に含まれる抗酸化成分エルゴチオネインはビタミンEの7,000倍の抗酸化パワーもつ。
・その他、コウジ酸・リンゴ酸・アスペルギリン酸・ゲオダイン・アルブミンフェルラ酸・オリザシスタチン・オリゴ糖・食物繊維(不水溶性・水溶性)なども含まれる。
デーツ
クレオパトラが美容のために食べていたというほど歴史の古いデーツ。イスラム教ではラマダン(断食)の前後にはこのデーツを食べて栄養補給をするそうです。
糖質以外の栄養素の補給ができるのが特徴。中東や欧米では今やポピュラーな食材です。
GI値は47(乾燥デーツ)と、低めですが、そもそも糖質はそれなりに多いので、摂取のしすぎはよくありません。(糖質量63g/100g)
サイズにもよりますが、デーツ1粒(約4g)=糖質量2.5gほど
1日に3〜4粒くらいを提唱している方が多いようです。(ほとんどが果糖とブドウ糖。ショ糖は含まれていないとされる)
その他期待される栄養素▼
・βカロチンによる抗酸化作用が期待できる。
・血中のヘモグロビンを増やす、鉄分(0.8mg/100g)が含まれる。貧血予防に。
・カリウムが豊富。カリウムはナトリウム排出を助長するので、高血圧な方にも効果的。
・不足しがちなマグネシウムが豊富。体内の酵素の働きや、血液循環系を正常に整える。また、カルシウム:マグネシウムの比率=2:1が理想とされる。
乾燥デーツを水で戻してデーツシロップに
こちら、デーツを水戻し中。何度も戻して濃厚にしていく予定です。
このシロップも何かに使えたらいいな♪
はちみつ
いわずと知れたはちみつ。はちみつファンは多いのではないでしょうか。
はちみつの糖質量は
大さじ1の糖質量:約16.8gほど
小さじ1の糖質量:約5.5gほど
内訳は、約40%がブドウ糖、約50%が果糖からできています。
また、糖質以外には以下のような成分が含まれています▼
酵素・ビタミン・ミネラル・アミノ酸・ポリフェノールなどが含まれており、はちみつに含まれるコリンやパントテン酸には肝臓を強化する効果が期待される。
・殺菌効果・傷の治癒・疲労回復効果・口内炎治療・喉のケア・二日酔い防止・解消・便秘の改善(整腸作用)が期待できる。
なお、通常市販されている加熱処理はちみつでは、熱に弱い酵素などがほとんど破壊されてしまい、上記のような効能はなくなってしまっている可能性が高くなります。
それに対し、生はちみつ(非加熱処理)は、酵素が破壊されておらず、そのままの栄養が摂取できるとのこと。
また、はちみつのGI値は50〜90と、種類によって変わるという研究結果がありますが、中でも、ルーマニア産のアカシアはちみつのGI値は32である*5との報告がでています。選ぶならこちらのはちみつがいいかもしれませんね。
アガベシロップ
メキシコを中心に、南アフリカなど熱帯地域に自生する、100種類以上あるリュウゼツラン科・単子葉植物の分類群。メキシコでは古くから甘味料として食用されていたそうです。
蜂蜜とより甘く、粘り気も少ない。また、砂糖の1.4 - 1.6倍の甘さを持ちますので、少しの糖質でより多くの効果(ここでいう甘み)が得られるのが特徴です。
GI値は21と、もっとも低いのも特記すべき点です。
しかし、糖化を起こしやすい果糖(フルクトース)が80%含まれています。大量摂取は控えましょう。
ラカントS
ラカントSとは、ウリ科の果実「羅漢果」エキスと、トウモロコシから作られる天然の甘味成分「エリスリトール」を使って作られた自然由来の甘味料*6です。このエリスリトールは、糖アルコールの一種なので、糖類は0になります。
このエリスリトールは、体の中で代謝・吸収はせず、ほとんどが尿に排出されるため。摂取しても、血糖値の上昇には影響しないという結果が出ています。人工甘味料をはじめ、合成着色料も無添加。
人工甘味料は注意すべきと前述したところで、矛盾しているようですが、エリスリトールは人工甘味料の中でももっとも安全性が高いとされている甘味料なのは注目すべき点です。
参考*7
*1:ほとんどの加工食品に含まれる果糖は高フルクトースコーンシロップである。
*2:加工された果糖を多く摂取しているのに痩せ型であり、痩せているのに代謝性機能障害・肝臓病を発症する人がいる理由はこれだと考えられている。
*4:ただし”注意したい糖質”表記したように、低GI値でも健康面においてマイナス点が高いものもあるので、注意
*5:
アカシア蜂蜜は血糖値を上げにくい甘味料 | ミツバチ産品研究 | みつばち健康科学研究所(山田養蜂場)
*6:そもそも人口甘味料には、自然界にはない甘味を人口的につくった合成甘味料と、自然の中から抽出した自然由来の人口甘味料があります。
*7: