後悔しない母親との別れ方

先日Yahoo!ニュースで、こんな記事を読みました。

母死去でうつ 乗り越えるには | 2017/7/9(日) 16:47 - Yahoo!ニュース

アーカイブは有料版しか詳細が読めないので、リンクははてなブックマークにて)

 

リンクは、ハイライトしか書かれていませんが、本当はもう少し長めの記事。この中で、私は大きな学びを得ました。

それは、母親を失った人が「どんな後悔をするか」という点。

 

・母ともっとたくさん時間を過ごしたかった

・母に感謝の気持ちを伝えられなかった

母親を失った時に襲いかかる後悔。主に以上2点があげられるようです。

(そのほか、遺産、お墓など話し合っておけばよかった…など。)

 

「まだまだ元気だから」と安心して、大切なことをいつまでも先延ばしにしてしまう。

そんなことをしているうちに、大切な人との別れは突然やってくるのです。

余命わずかな寝たきりの祖母に伝えるべき言葉とは

この記事を読んで、はじめにハッとしたのは、私の祖母のことです。

80代も半ば越えようとしている私の祖母は、難病と言われるパーキンソン病*1を50代の頃から患っており、長くは自宅療養でしたが、ついに1年半ほど前から入院状態が続いています。半年ほど前、自分の口から何も食べられなくなったので、胃瘻*2をする事も検討したのですが、祖母は自分の意志で胃瘻を拒否。現在、点滴のみ、寝たきり状態です。

 

会うたびに、どんどんやせ細っていく祖母。絶対にこの先よくならないとわかっている現状。励ましの言葉も、希望の言葉も安っぽく、正直、どんな言葉をかければいいのか困惑していました。

とにかく、帰り際にかける言葉はいつも「またくるね」。”また会える”という、保証のない、気休めの言葉。

 

そんな時、この記事を読んで、私は目が醒める思いでした。

「そうか、感謝の気持ちを伝えるんだ。なんでそんな大切な事に気づかなかったんだろう。」

 

寝たきりの祖母に伝える「今までありがとう」という言葉は、もう、それが今生の別れであるかのような言葉になってしまう。きっとそれが怖くて、無意識のうちに避け続けてきたのでしょう。

でも、心の中では気づいてた。会うたびに「これが今生の別れになるかもしれない」と。

 

それなら、ちゃんと意識があるうちに、祖母が安らかに逝けるように、今まで惜しみなく注いでくれた祖母の愛への感謝の気持ちを伝えた方が、よっぽど後悔のない別れができると、そう思いました。

祖母へ感謝の気持ちを伝えにいく

私は、祖母の好きだったピンク色をした蘭の切り絵のメッセージカードに「おばあちゃん、いままでありがとう」と書き、病院へ向かいました。

久々に見た祖母は、以前よりもさらにやせ細り、もはや話す事も、表情を作る事も、話しかけられてもほとんど反応できないような状態でした。

 

私はメッセージカードを見せながら、祖母に話しかけました。

「今日は、おばあちゃんの好きなピンク色の切り絵にメッセージかいてきたんよ。」

「おばあちゃん、いままでありがとう。ありがとうね。」

本当は、この言葉を伝えるだけで、涙がこぼれ落ちそうになるのを懸命にこらえながら。

 

 

すると祖母は、今まで何を語りかけても反応できなかった祖母が、ほとんど合わせられないようなか弱い目で、うっすらと、おだやかに微笑んだように見えました。もうほとんど動かせない口を懸命に動かして「ありがとう」といってくれているように見えました。

 

気のせいだったかもしれない、思い込みだったかも。

それでも、私にとってこの短い時間はかけがえもなく、忘れられない時間となりました。絶対に治らない難病を30年以上背負い続けていた祖母のあの微笑みは、私をたとえようのない、幸せな気持ちにしてくれました。

後悔しない大切な人との別れ方

きっと、次に私が京都に帰る時は、祖母のお通夜になる事でしょう。

たとえ自己満足であっても「感謝の気持ちをちゃんと伝えられた」ことで、いいようのない寂しさはあれど、後悔の気持ちはありません。

 

ずっと心のどこかで引っかかっていた、でも見ないふりをしていた何かが、スッキリと取れたような清々しささえ感じられます。

本当に会えなくなる前に、大切な事に気付けてよかった。

 

あとは、祖母が、やすらかに。苦しくとも、幸せな人生だった。と感じて逝けるように。そればかりを願っています。

 

おばあちゃん。今まで本当にありがとうね。

 

 

 

 

 

*1:神経系の難病。どんんどん体が動けなくなる病気

*2:口から物が食べられなくなった患者に対し、胃に管を通し、食事を直接胃に流し込む治療