もっと自分らしく生きて、幸せになるためのアドラー心理学「嫌われる勇気」読了
みなさまアドラーって知ってますか?
人の全ての悩みは対人関係から生まれる。と明言したオーストリア系ユダヤ人のアドラー。フロイトやユングと並び称される心理学の三大巨頭と呼ばれているそうです。
もう随分前から流行っていたこちらの本。遅ればせながら読んでみました。
そこには、もっと人生を幸せに自分らしく生きるヒントがたくさんあり、非常に参考になりました。また、主人曰く、成功者はみんなアドラー的な思考で行動しているとのこと。
アドラー心理学を体得すれば、もっと自分は成長できるかもしれない。
主人との関係もよりよくなるかもしれない。
これからの子育てに対する心構えも、学べるかもしれない。
そんな期待を胸に、今回本で学んだことをまとめていきたいと思います。
1:重要なのは「原因」論ではなく「目的」論
「原因」論とは、過去の行動が現在につながっているという考え方。フロイトが提唱しているようです。
例えば、
「私は昔虐待されていたから」→「だから人に辛く当たってしまう」
「親の愛が足りなかったから」→「だから愛し方がわからない」など。
「原因」→「だから今がある」という考えです。
それに対して、アドラーは
「トラウマなど存在しない。原因に大した意味はない。 目的が重要だ。」と明言しています。
トラウマは存在しない。
アドラーは、トラウマなど存在せず、自分の「目的」のためにトラウマを作り上げているだけ。と明言しています。過去の事実に対する解釈は様々です。トラウマがあるという人は、何かの目的のために、トラウマを使っているにすぎません。
【例】「子供の頃、虐待されていた。」と語る人がいます。
Aさん:「私は昔虐待されていた、だから同じように人に辛く当たってしまう」
Bさん:「私は昔虐待されていた、その辛さがわかるから人には優しくしよう」
アドラー心理学では、結局Aさんは「人に辛く当たる」という目的を達成するために、「過去の虐待」という材料を都合よく使っているだけなのだ、と考えます。
結局はAさんは、原因(虐待)をなくしても、人に辛く当たっている。と考えます。
【例】子供がお風呂になかなか入らない。
母:「そろそろお風呂入ったら?」
子:「あ~今行こうとしてたのに、人に言われるとやる気なくすし入りたくなくなったわ~」など。
この時、子供はそもそも「お風呂に入りたくない」という目的達成のために、「人に言われると…」という理由を都合よく使っているのだ。と考えます。
結局は子供は、原因(母から入りなさいと言われる)をなくしても、お風呂には入らないと考えるのです。
【例】恋愛ができないという人がいるとします。
理由:「イケメンじゃないから恋愛なんて無理」
理由:「太っているから恋愛できない」
この人たちは、「キズつきたくない!」「何かをして失敗したくない!」「面倒なことしたくない!」と言ったような「目的」に向かって進んでいるため「イケメンじゃない」「太っている」という理由を都合よく使っているだけです。
結局はこの人たちは、たとえ上記のような理由がなかったとしても、恋愛はできない。とアドラーは考えます。
このように、原因には大した意味はなく、大切なのは、その後どうするか。
つまり、進む方向でもあり 「目的」なのです。
上記のように、何かの「原因」で〇〇できないという人は、その「原因」がなくても、結局はできない。と考えます。
「どうして」(原因)ではなく「どうやって?だったらこうしてみたら。 」(目的)を考える。
どんな人もいいこともあれば悪いこともあります。
大切なのは、「目的達成」のためにどんな材料を使うか。
「どうして」と思うなら、「どうやって?」を考えてみるクセをつけましょう。
「どうして私はうまくできないんだろう」→「どうやってうまくいかせよう?」
「どうしてモテないんだろう」→「どうやったらモテるだろうか?」
といった感じ。
そうすれば、原因を追求して、ぐるぐると同じ場所を回るのではなく、新しい一歩が踏み出せるようになります。
怒りの感情すら目的がある。
例えば、飲食店で、ウエイトレスがあなたの下ろしたてのスーツに水をこぼしたとします。あなたはどうしますか?とる行動としては、
A「ウエイトレスに対して怒鳴る」
B「いいですよという」 などがあると思います。
実は、もう水が溢れてしまった時点で、Aの行動を取ってもBの行動を取っても結果は同じです。
それにも関わらずAのような態度を取ったということは、あなたはそもそも怒鳴りたくて怒鳴ったのである。と考えます。
もともとムシャクシャしていて、怒りたかった。
↓
そうしていたら、ウエイトレスが都合よく水をこぼしてくれた。
↓
なのでそれを理由にここぞとばかりに怒鳴った。
ということなのです。結果は同じで、Bという対応もできたはずなのに。
なのでアドラー心理学では、何か物事が起きた時は、
何が原因だったのかが重要ではなく、その目的達成のために、どういう行動をとったのかがポイントになってくるのです。
では、あなたが感情をぶつけられた側の立場なら?
怒られたり泣かれたり、あなたが感情をぶつけられた立場なら、
相手の感情に乗るのではなく、冷静に話をすることが大切です。
例:怒られた。
⇨やったことはごめんなさい。ただ、大声は出さないで。
例:泣かれた
⇨悪かったから、次はこうするよ。ただ、泣くのはやめてほしい。
など。
怒りや涙で相手にいうことを聞かせるのは、
暴力で従わせる事や泣き叫ぶ子供と、している事は一緒です。
短期的な効力はあるかもしれないが、長期的には損をしていきます。
そんな人間関係はいつか破局してしまうからです。
2:劣等感を恥ずべからず。劣等コンプレックスを恥じろ。
アドラー心理学では、全ての人間は劣等感を持っていて当然で、それがあるから頑張れる。劣等感は恥じなくてもいい事柄である。と考えます。
ただ、注意したいのが、劣等感と劣等コンプレックスを履き違えることです。
劣等感=前向きに頑張るエネルギー源
劣等コンプレックス=行動で解消することを諦め、歪んだ心になること。
劣等コンプレックスに陥っている人は具体的に以下のような行動をとります。
・攻撃的になる
例:成功できない劣等コンプレックスがある人は、嫉妬したり悪くいったりする。
例:親に愛されたい劣等コンプレックスがある人は、気にかけられたい、が転じて不良になったりする。
・自慢する
自分が優れているというアピールをして、劣等感から目をそらしている状態。
アドラーは、これを、「優越コンプレックス」とも読んだ。
・不幸のアピールをする
劣等感を、あえて口に出すことで、いかにも「気にしていない」自分を装う。
聞いた相手に慰めの言葉をかけてもらえれば、劣等感も少しは安らぐ。
⇨どうしても不幸な話がしたくなったら、不幸によって得たものをセットで話すと、自慢ではなく、前向きに捉えられます。
劣等感を解消するには…
劣等感そのものは悪いことではないです。
でも、そこから目をそらすと「劣等コンプレックス」になり、前述3つの行動などで、本人や周りの関係が悪化してしまう場合があるので注意が必要です。
自分の不完全さ(劣等感)から目をそらさずに、行動するしかない。
行動こそが、唯一かつ最大の劣等感を解消する方法なのだ。
とアドラーは考えます。
3:すべての人間は対等である
アドラーは、すべての人に「上下の差はない」と考えます。
上から目線で話すことで、相手も反発し、人間関係はどんどんギクシャクします。
人を叱りたくなったら
「こうしてくれると嬉しい」と、親しみを感じさせる言い方が一番効果的。
それこそが、最短で気持ちを動かす方法である。と考えます。
他人を見下さず、他人にへつらうこともなく、
どんな人間も、同じ位置にたち、今を一緒に生きる仲間である。
とアドラーは言います。
「ほめてはいけない」
「ほめる」というのは、相手の能力を「上から」評価するのと同じ。それでは、上下関係につながり、自立心が育たなくなります。
たまに褒めるのはいいかもしれませんが、それを繰り返すと、「ほめられないとやる気も出ない」となる可能性があります。
では、上下関係を作らず、相手に気持ちを伝えるには…?
その1:物事のいい面に注目する。
マイナスな事でも見方を変えればプラスに。それを相手に伝えることで、自分をプラスに受け入れられます。
【例】
失敗続き→いろいろと学んできた
スピードが遅い→慎重
飽き性→多くに目を向けられる
オタク→趣味に熱中できる
その2:YOU(ユー)メッセージではなく、I(アイ)メッセージを伝える。
「あなた」を主語にすると、相手は自分のことを上からきめつけられたように感じ、反発したくなります。それより「私」を主語にすると、気持ちを表してるだけなので、相手は安らぎます。
【例】
お前はやる気があるのか→こうしてくれると私は嬉しいんだけど。
あなたの言い方おかしくない?→そう言われると私は悲しい。
なので、「ほめ言葉」もある意味、ユー・メッセージ。
ほめるだけでなく、プラスで、アイ・メッセージを伝えれば、自主的にその行動をとるようになり、効果的。
【例】
あなたは宿題やってえらいわね
→宿題終わらせて、頑張ったね。私、すごくうれしい!
(この場合、もっと喜ばせてあげようか、と思わせる可能性もある。)
その3:ありがとうを伝える。
「ありがとう」というお礼の言葉は、相手の存在をもっとも認める言葉。そこには上下関係はなく、対等です。さらに、相手に「やってよかった」と感じさせる言葉です。
この言葉こそが、人の気持ちを掴みます。
【例】
宿題頑張ったんだね、お母さんうれしい!ありがとう!
家事手伝ってくれてありがとう!
4:他者信頼と他者貢献で、共同体での存在価値を認識することで、自己受容できる。
人間の悩みは、すべて対人関係である。
アドラーがそういうように、人間は「共同体」の中で生きています。
その共同体の中で、住みよく生きるために必要なのは
「他者信頼」「他者貢献」「自己受容」であると考えます。
つまり、人を受け入れ信頼し、人に貢献することで、人は自分を価値のある人間だと認識し、自分を受け入れられるのです。
そうなると人間の行動においてポイントとなるのは「他人に貢献すること」となります。他人に貢献する事で、人は共同体の中で生きている=共同体の中での存在価値を感じられるのです。
偽善に思う方もいるかもしれません。でも、それでもそれが事実であり、人は一人では幸せになれないのです。
もちろん、自分が疲弊してまで、他者貢献することを推奨しているわけではありません。ただ「人のために役立つこと」は、本人にとって存在価値が実感できて、「幸せ」であるということは、大きな事実の一つです。
もしあなたが、「幸せではない」「幸せって何だ?」と思うことがあれば、
「誰かのために何かをしてみるのは?」という考えを、一つのヒントにしてみてもいいかもしれませんね。
5:課題は分離するべし。
さらにアドラーは、自分らしく生きるために、課題の分離が重要だといいます。課題の分離とは、他人の課題と自分の課題は別と考えることです。
【例】
あなたの家族が恋人がイライラしている
↓
あなたは、なんでイライラしてるんだろう?なんとかしてあげよう。と思って…
↓
「どうしたの?洗濯しようか?」とか
「そとに散歩でもいく?」とか言う。
↓
でも、それがうまくいかないと
↓
あなた:「こんなにしてやってるのに、その態度は何だ!」
相手:「そんなこと頼んでない!」
と喧嘩になってしまいます。
ここで課題の分離が重要になります。
上記の例のようなことがあった時は、
「イライラを治すのは、本人の課題なのだから、関わらないでおこう」
と考えるのが大切だとアドラーは考えます。
もしそこで相手が、
「なんで「どうしたの?」って聞かないの?!」
と言ってきたら、なおさら分離をするべきです。
なぜなら、そのような事をすると、
相手は「イライラしていれば、話を聞いてくれる」と学習してしまい、
これは結局甘えでしかなく、これを放置すると、関係は悪化するばかりです。
前述の「原因論ではなく、目的論」でも書いていたように、
人は、目的のために感情を使うのです。
つまり、今回の場合
「相手を支配する目的」や「ストレスを伝える目的」のために、
怒りやイライライを手段として使っているだけ。
これに巻き込まれ、相手の思うように繰り返していれば、お互いストレスが溜まります。
なので、その手段は使わせない=反応しない。のがベストなのです。
もちろん、完全に無視するのではなく、
イライラに反応したり、干渉したりせず、
「自分から言葉にしてきたらきちんと聞いてあげよう」と「見守る」のが大切です。
【例】
親が子供に対して「あなたのことを思って言ってるのに!なんで勉強しないの!」というのは、課題の分離ができていません。
課題の分離ができないと…
あなた:相手の課題を抱え込むことで、ストレスが溜まる
相手:自立心が育たない。
という悪循環にとらわれます。
結局のところ、勉強をするもしないも、本人の課題なのです。
あなたが、強制しようと何をしようと、解決できる問題ではありません。
ただし、勉強をしないといって、完全に放置するわけではありません。
強制して勉強させるのではなく、読めそうな参考書や、学習漫画など、
本人が楽しみやすくなる環境を整えるという方法はあります。
その他、勉強のやり方や、苦労話を話して、やる気を育てるという方法だってあります。
「誰の課題か」を知るには
では、その課題は誰の課題か?を知るにはどうすればいいのでしょうか?
それは、「それを放置することで困るのは誰か」と考えることです。
たとえば、「勉強をしないと困る」のは本人なので「本人の課題」となるのです。
他人の人生を必要以上に抱え込まず、あなた自身の人生を生きてくのが大切とアドラーは考えます。
それは結果的に、相手に対しても「自分の人生」を認識させます。
そうすれば、お互いできる範囲でサポートしあえる関係になれるのです。
逆に、
他人の課題に踏み込まない、ということは、
他人にも自分の課題に踏み込ませない。ということにもなります。
あなたの課題はあなただけの課題です
あなたは、あなたの人生を生きるためにも、他人を自分の課題に踏み込ませてはいけません。
【例】
他人の言葉に左右されて何かを選んでしまった場合。
成功した:他人「ほら、言った通りでしょう?」
失敗した:あなた「言った通りにしたら失敗した!あんたのせいだ!」
成功しても誇れず、自分の自信を失っていく。失敗すれば、責任転嫁してしまう恐れがある。(人はそもそもそういう思考になるものです。)
それに対して、あなたがした決断なら、上述のような問題はおきません。
【例】
あなた自身がした決断の場合。
成功した:心から喜べ、自信にもなる
失敗した:前向きに改善して進められる
以上のように、誰かの人生を、支配したり、抱えこもうとすると、すべての問題が起きます。
あなたの人生は、あなたで生きなければならないし、
それは、あなたの大切な人も、その人が生きなければならない人生なのです。
嫌われても気にしない
前述で、アドラーは「他者貢献が大切」といいました。
共同体で存在価値感覚のない人=自分の居場所のない人は、それこそ最大の不幸といえます。なので自己満足感でもいいので、「他の人の役に立っている」という共同体感覚を抱くことは大切です。
自己満足でもいいということは、つまり、もし、そこで、よかれと思って何かをして、結果的に誰かに嫌われても、気にしない事です。
誰に嫌われてもいいから、あなたが「人のためになる」と信じることをするべし。とアドラーはいいます。
人の感じ方は千差万別です。たとえば100人に親切行為をして、10人が嫌がるとしても、90人が喜ぶなら意味があるのです。
おせっかいおばさんが共同体の中で、愛すべき存在になりうるのはそういう事です。
また、「課題の分離」で前述したように、あなたを嫌う人が自分の気持ちを解決するのは本人の課題です。あなたが解決できる問題ではない。
課題の分離をして気にしないのがベストです。
完璧を目指して、全員に好かれようと思うと、相手の顔色を伺って生きていかなければなりません。それでは、あなたの人生はあなたのものではなくなってしまいます。
なので、嫌われようとも関係ありません。
「他者信頼」「他者貢献」「自己受容」で、共同体の中で存在価値を感じられれば、あなたは自分らしく、幸せに生きる事ができるのです。
様々な口実を作って、やるべき事をしないのは「人生の嘘」
いかがでしたか?
私は、この本を読んだ時に、すぐには実践できなくても少しづつ、そんな人間になれたらいいなと思いました。
実際にアドラー自身も、
アドラー心理学は他の様々な心理学の中でも、非常に難しい心理学である。アドラー心理学を会得するには、今まで生きてきた半分の人生を費やさなくてはならないだろう。
といったほどだそうです。
そんなすぐに性格を変えられないと思う人もいるかもしれません。
それに対して、アドラーは、
性格ではなく、ライフスタイルだ。といいました。
あなたは、どんなライフスタイルを選びますか。
性格というと、変えるのは非常に難しく捉えてしまします。そこで、アドラーは、性格を変えるのではなく、ライフスタイルを変えるのだ。と言います。
イライラした時に、感情を出してすぐ怒る性格なのではなく、
イライラしても、怒らないというライフスタイルを選ぶ。
あなたはいつもそう(YOUメッセージ)と伝えるのではなく、
私はこうおもう(Iメッセージ)を伝えるというライフスタイルを選ぶ。
自分だけの欲を満たす事で幸せを得るのではなく、
他者貢献によって幸せを得るライフスタイルを選ぶ。
そういった、一つ一つのライフスタイルの選択によって、あなたの人生は変えられるのです。
様々な原因・理由・口実を使って、今自分の人生を生きられないのは、それは人生の嘘となります。
自分の人生を幸せに生きるためのライフスタイルを選べるように、これからも学んで生きたいとおもいました。
あと、こちらの本もわかりやすく面白いのでおすすめです。
マンガで分かる心療内科 アドラー心理学編 (ヤングキング・コミックス)
- 作者: ゆうきゆう・原作,ソウ・作画
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2014/11/25
- メディア: コミック
- この商品を含むブログ (8件) を見る